マキタ:たけしさんのお弟子さんでぼくはっきりいいますけど、浅草キッド以外育ってないなとおもいますもん。
僕はどこに存在証明を見ていたかと言うと浅草キッド以外、ネタをやってないですもん。テレビタレントなんですもん。
放送作家:ああ、熱湯入ったり?
マキタ:そうそう。それはお湯に入ってバカバカしいことやって僕も爆笑してましたよ。だけど、僕が目指したいのはそこじゃないです。浅草キッドがネタをやってたところをやりたいんです。
放送作家:ははぁ〜。
マキタ:ビートたけしさんが芸人でやってたことを僕は一番見てたんです。軍団さんと遊んでるところは面白いけど、そこは僕は目指したいとは思わないです。だから浅草キッドさんも好きですし、軍団さんも大事にしてもらってて好きですけど、それはまた別ですよ。やっぱ芸人であることですよ。ネタをやってるかどうかです。
放送作家:ただ、そのうたけしさんの足元にはいこうと思ってたのですか。
マキタ:僕のなんの自信も根拠もないですけど、がんばってこの世界でやったらいずれたけしと番組やるだろうと。
(中略)
マキタ:たけし軍団に入るではなく、別のアプローチで。僕がコンビを始めて、オーディションにあっさり通って、イベントにもでたんですけど、同じ時期に出てたのがガレッジセールですよ。ガレッジセールもまだ吉本に正式に入ってない。
僕が出てたイベントの、ちょっとだけ先輩の、イベントの長だったのがガレッジセールですよ。僕らはそのイベントに2・3回出たところで、相方がにげやがったんですよ。逃げやがって、これからというときに逃げやがって、吉本に入れると思ったのに、そしたらどうしようもない失意のどん底に居た時に、たまたま僕バイトしてたんですけど、ラジオをつけてて、ラジオビバリーヒルズという番組で、浅草キッドが浅草お兄さん会というのをやるぞと。そこで、ビートたけしチルドレン達よ集まれということを言ってたんですよ。それ聴いて僕はそのとき年齢28ぐらいでしたけど、28にもなろうとしてる人とかデビューできるところなんかないし、やっぱりたけしさんに影響を受けてて、浅草キッドも大好きだから、だから浅草キッドのところに行こうと思って。1人でやれる自信なんかなかったですけど、とりあえずオーディションにいったんです。
放送作家:ああ〜、そうだったんだ。
マキタ:いたし方なくピン芸を始めてます、だから。
(中略)
マキタ:ちなみにトンパチプロの一番最後に新入生として入ってきた奴が猫ひろしです。
放送作家:猫ひろし抱えられたら儲けられたよね。
マキタ:猫ひろしも抱えられたら儲けられたんですよ。あと、U字工事も一番最初エントリーするかどうかだったんですよ。U字工事も浅草お兄さん会でデビューしてますからね。
(中略)
マキタ:僕は猫ひろしを(オフィス)北野に入れようとしたんですけど、北野(事務所)はウチはチビの枠はなべやかんと水道橋博士がいるからこんなわけわかんないのはいらない。んで猫に入れね見てえだわって言ったら猫が「僕事務所にやっぱ入りたいんで」と言ってワハハに入ったんですよ。
放送作家:惜しいことしたねえ。
マキタ:U字工事も結局どさくさのなかでトンパチプロに来てたりとか僕らと繋がりを持ってることで、袂を別ったわけじゃなくて、僕らの活動の歯車とはちょっと外れてっちゃったんですよ。あいつらも細々とやってたんですよ。だけど、僕はU字工事は絶対(オフィス)北野に入れるべきだっておもってたんですよ。
放送作家:なんかフィクサーみたいだな。自民党の森さんみたいだ。
マキタ:僕、結構裏で政治やってたんですよ。
(中略)
放送作家:(東京ポッド許可局は)どうしてこういうことをやろうとおもったのか。
マキタ:まず、トークっていうものをそういうツールを使って芸人とかが、自分発でやることがないので僕ら最初に手挙げてやっとこうかというのがまず最初にひとつあるのと、あとやっぱり吉本入りたいって言ってた割りには、僕が育ったのは関西圏の笑いじゃないんですよ。今気付いたら関西圏の笑いというか、吉本のお笑い・楽屋が全部こうお茶の間と地続きでつながちゃったというところに意識がありまして、僕らが見てたのはそういうノリじゃないものとかがあったんですけど、例えばかろうじてNHKの番組、トーク番組とかであるじゃないですか、なんかしゃらくせええ番組あるじゃないですか。
放送作家:例えばどんなの?
マキタ:具体的に言うと角が立つんですけど、だけどしゃれた感じとかあるじゃないですか。そんなにアッパーな感じでずっと笑いを笑いをとかのミニコント的な感じとかで、今で言うところのミニコントみたいな楽屋落ち的なんですけど、なんせ楽屋自体が世の中を席巻しちゃってるんで、さんまさんて言う偉大なパサーがボンボンボンパスすることによって成立することであるとか、その辺の座長たちの偉大なパサーが、華麗なミッドフィルダーたちがやることとかじゃないもっと、昔はゆったりした感じとか、でも言いたい放題実はしてるとか。タモリさんとかの番組とか、とにかくそういうノリじゃないところでやりたかった。
放送作家:関西ノリじゃないものを・・・
マキタ:しかも、今関西ノリってのは芸人とかの楽屋とかでも皆そうなんです。芸人も各々の事務所の仲の良い人たち、またはその繋げるジョイントする政治力のできる奴達が嬉々としてミニコントやってんですよ。ほんとは皆そんなにそんなとこにノリたくなくても、そんなことやってたりする。そういう楽しいのはいいんですよ。そういうことで鍛えられることもあるから、だけどもうちょっと論を論じみたいなことをしゃべって、屁理屈って僕はあえて言いますけど、屁理屈みたいなことを言いたい。そういうことをぶつけ合って、やれ筋振りがどうした、お前ちょっとオチが弱いわとか、そういう変なツッコミとか噛んだとか、そんなことどうでもいいんです。そんなすぐ面白さで処理するんじゃなく、多少噛んでも機能的に自分の言いたい論説をちょっとまとまりが無くとも屁理屈を言うことをしたかったんです。
放送作家:言いだしっぺだったんですか。
マキタ:言いだしっぺはサンキューたつおです。
放送作家:正直僕ね、初めて聴いたときなんて生意気な集団なのかと、一番初めの感想はそうでした。まず、3人の認知度が低いにもかかわらず、先輩芸人を呼び捨てにしてですね批評する。ただね、これがどんどん試聴を重ねていくうちにですね、これはある種の3人の舞台なんじゃないか、つまり、ねネタ卸をしてるんじゃないのかというふうに聞こえてきてその批評自体が芸に聞こえてきたんですよ。こっちがまあ初めて見るネタというか、芸なんで慣れてなかったんで受け入れられなかったんですね、初め。これもありなんだなと思ったらだんだん面白くなってきたと。
マキタ:ありがとうございます。
放送作家:いわゆる今までの芸人論なんかは談志師匠なんかも家元芸人五十選で語ってますね。博士なんかも社会学的な観点からちょっと大学の教室の匂いのする感じで語ってますよね。あの2人の共通点は自分の愛してる芸人をこうなんか知らせたいと。ただね、東京ポッド許可局はそうじゃないんだな。批評そのものが目的になってるのがおかしいな。別に愛情がないって言うわけじゃないんだけど、それが第一目的になってる。
マキタ:そうですね。とにかく、あの番組を収録し終わった後、比ゆですけどギンギンな感じが。
放送作家:(大笑)
マキタ:批評することが目的なんですよ。それを全然ぶっつけ本番で。