宇都宮徹壱■あらためて明らかになった“4年間の成果”


「これが4年間の成果か……」
 この試合を見た大半の人々は、こう感じたことだろう。時間だけではない、その間に数十億という予算と60試合以上のテストマッチを費やして、その結果がワールドカップ(W杯)初戦で1−3――それも相手はブラジルでもイングランドでもドイツでもない。今回32年ぶりに2度目の本大会出場を果たし、次回のW杯地区予選からアジアに編入されるオーストラリアに対して、である。
 一方のオーストラリアは、1年にも満たない期間で、しかも日本より潤沢ではない予算で、これだけの強化に成功したのである。これはどう考えても監督の差であり、「チームマネジメントの差」であるといわざるを得ない。
 ついでにいえば、本番のスタメンやシステムを事前に公表してしまう“透明性”、貢献度重視の選手選考、バックアッパーの層の薄さ、守備に関する細かい取り決めの選手への丸投げ、といった“ジーコイズム”と呼ばれるものについても、大会終了後にはあらためて精査する必要があるだろう。

ほんと負けてはいけない相手だった。前回もヒディンクトラウマだったが今回もヒディンクに完敗。

宇都宮徹壱■1−0で逃げ切ることは可能だったのか?


そして坪井に代わって、緊急招集された茂庭が投入される。ここで、あらためて驚かされる事実が2つ。まず、センターバックのバックアッパーが茂庭しかいないという事実。そして、茂庭の最近出場した試合は、今年2月に行われたアジアカップ最終予選のインド戦(しかも途中出場)までさかのぼらなければならないという事実。いかにジーコが、このポジションに対する危機管理を欠いていたか、この交代が見事に象徴しているといえよう。

田中誠以外のバックアップは事実上無視だった。茶野も消えたし、松田も呼ばなくなったし。