- 作者: 渡辺一雄
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/07
- メディア: 単行本
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一部ではヤンタンでメインパーソナリティを張ったタレント達を回顧。当初は歌とトークをメインでやっていきたかった。お笑い芸人は考えていなかった。三枝さんの登場で全てが変わる。Mr.ヤンタンは谷村新司。あの放送が当初やろうとしていたヤンタンとして理想。さらにリスナーを外で動員する事も始めた。ヤンタンのピークは76年と77年。聴取率がラジオ深夜帯では異例の10%を超えた。谷村新司が一位。二位は鶴光と角淳一のヤンタン。80年代は第三のヤンタンブーム。第一が60年代の三枝さん。ほとんどのメインパーソナリティについては語られているが6年もヤンタンを務めたのりおさんにはまるで言及がなかった。一言どころか一文字も。少ししかやってなかった本木雅弘にはかなりページを割いている。松村邦洋が一番のヤンタンはのりおさんのヤンタンと言っていたぐらいだったのに。のりおさんのヤンタンは他の曜日と比べると異色だったが。あの当時、スタッフ側も相当アイドルが欲しかった。
ヤンタンのディレクターは音楽に詳しい人が多かった。バンド上がりの人が多くコナベさんがさんまに洋楽のカセット(クラプトンなど)を毎週のように渡して教育していた。センスを上げさせるために。さんまは当初は奈良の田舎モンで洋楽などとは無縁だった。木曜の紳助と白井貴子は最初はかなりギクシャクした放送だった。Dの宇野さんが苦労する。こういった話は始めて。紳助はよくハイヤンとヤンタンを比較してハイヤンの方が面白かったといっていたがハイヤンの方が自由度が高くフリートークが多かった。それに比べてヤンタンはコーナーが結構あって自由度は低い。しかし、リスナーとしては紳助&貴子のヤンタンも面白かった。パーソナリティとリスナーの満足度は正比例しないものかもしれない。渡辺美里を起用する場面も圧巻。彼女を起用しようとしていた時点で高校生でデビューもしていなかった。目力が凄かったらしい。オオナベさんはほとんど直感でパーソナリティを決める。女性タレントはタレント事務所からは取らない。喋りの技術より人柄が重要と。アナウンサーでヤンタンに長く関わったのは角淳一アナと伊東正治アナ。
やはりというべきか、ラジオギャラは相当低いと。
本の最後についている歴代ヤンタン出演者一覧は重要。出来れば90年以降の分も載せてくれていた方がよかった。
二部はヤンタン今月の歌について。バンド、歌手や歌について。メインは60年代の話が多い。知らないことが多い。
オオナベさんがヤンタンの現場を去ったのは90年。その後のヤンタンには触れられていない。そして、AMラジオの現状にも。その後結果的にAMラジオはじり貧していく。AMラジオの将来についても少し語って欲しかった。
今一線のタレントもヤンタンで人気を決定的にした訳ではなく、さんまや紳助はひょうきん族だし、たかじんは昼間のワイドショー。鶴瓶さんもぬかるみを持っていたし、パペポTVがあった。北野誠もサイキックの方が本領を発揮していた。彼のサイキックを聴いた時の驚きといったら。ヤンタンとではこれほどキャラクターが変わるのかと心底びっくりした。サイキックを聴いた後ではヤンタンでの北野誠はイマイチ冴えた感じは出ていない。つまり彼のキャラクターをヤンタンでは生かしきれていなかった。それでもあれだけの怪物番組を作りえたヤンタン。独特の嗅覚で無名の人達(お笑い、アナウンサー、ミュージシャンやその当時素人)を起用し、異業種人を混じえた放送は画期的に面白く、現在も大御所二人が絶滅危惧種のように週末務めている。