今回召集されてる予備自衛官・即応予備自衛官はどのような人達なのか

ジャーナリストの田上順唯(たがみよりただ)さんが語る予備自衛官・即応予備自衛官について

TBSラジオDigに出演したジャーナリストの田上順唯(よりただ)さんがあまり知られてない予備・即応予備自衛官について語る。
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Podcast26分後ぐらいから。現在は削除されてます。
田上:今回の東日本大震災について、当初政府はまあ自衛官5万人投入ってことを言っておったんですが、その直後に方針を転換しまして、自衛官の10万人の派遣を行う。これはですね、日本はず〜っと想定してきた首都直下型の大地震、第二次関東大震災なのか、東海地震なのかはわからないけれども、首都圏における激甚災害に対処する計画として、首都直下地震対処計画というのを持っていたんですね。これはまあ、東京だけではなくて、周りの千葉だとか神奈川だとかも参加してやっていた計画なんですけども、これが日本の災害派遣の中で最大限度の規模であると。これは、陸幕、陸上幕僚監部といいまして、昔風の言葉で言えば陸軍大本営というか、非常に最高レベルの司令部で想定している、陸自、全自衛隊の最大勢力を持った部隊集中。
 具体的にはですね、陸上自衛隊はですね、これ資料を見ているんですが、「駐屯地警備に必要な最小限度の勢力を除いた最大勢力を持った部隊集中。これによって最大11万人を進出させると。海上自衛隊に関しては艦船、航空機などが被災地近傍に進出し、艦船最大60隻、航空機最大50機、」これ海上自衛隊が持ってる作戦航空機っていうんですけども、これ170機なんですね。その約3分の1の勢力を投入する、これどういう事かと言ったら、世界にはいろんな考えを持った国がありまして、こうやって日本が震災なんかでゴタゴタしてるうちにですね、某尖閣諸島だとか、某竹島だとか、某北方領土なんかにも色々茶々入れる国もあるかもしれない。そういうところをパトロールするような最低限度の部隊を除いた全ての部隊、航空自衛隊に関しても保有してる航空機が作戦用航空機が350機あるんですけども、そのうちの70機、4分の1程度ですね、当然修理中の飛行機も含まれるわけで、実際は3分の1ぐらいの勢力を持って、一極集中すると。
 それが今回東北で起こった東関東大地震は被害があまりにも激甚であるということでこの首都直下型震災の発生の際の対処というのを自衛隊と政府は持ってきたわけです。
 まあ、凄まじい数なんですよ。あったりまえですけど、10万人が移動するトラックの手配から、宿営地テントを張って自衛隊員がテントを張って拠点とする宿営地ですね、さらに彼らの燃料だとか、食料だとか、交換する被服だとか、支援物品だとかこういうものをどんどん追送ってことでおくんなきゃいけないわけですよ。
 これを僕もお付き合いのある自衛官の方等々とお話して、皆さんがねえ、使われる言葉がこれはもう震災だとかのレベルじゃないんだと。政府も初めて公共の電波で言ったと思うんだけど、国難って表現をしたんですね。国が難局ににある。国難ですね。彼ら言うのはこの国難の状況はもはや有事であると、それを証明するかのように先程10時20分頃ですね、読売新聞の方でも報道が入ってるんですが、北沢俊美防衛大臣地震発生直後から示唆していた予備自衛官、及び即応予備自衛官の招集が決定いたしました。
 これは自衛隊発足以降、その前身となる警察予備隊・保安隊を含めて戦後日本で初めて予備役の導入、投入が行われるんですね。これというのはですね、政府も認めるとんでもない有事であると、ここでも最後の手段として、被災地を救うにしても、福島第一原子力発電所で起こってる爆発的な事象であったり、それにまた付与する事象ですね、これに対して対応可能な組織はもはや自衛隊しかないことを政府が図らずも証明した格好になる。
 全国で現在自衛官は24万8千人、しかしこれも数字のトリックがありまして、自衛隊の定員は約5万人なんだけども、実際そのなかで実員というのは23万人しかいないんですよ。これはなんでかっていったら、長年財務省から自衛隊GDP費で1%以下の国防予算だとかそういうことを言われていて、全部の定員までの人間を雇ってしまうと、給料だとかの人件費、そういうものがかかってしまうということで、無理くり定員は25万なんだけども、実勢は23万に抑えるっていうことをやったんです。
 そこで問題になってきたのは今回のような大規模な激甚災害が起こった時に帳簿上は10万人投入するったって10万人が捻出できないんですよ。それはなんでかっていったら、ず〜っとこう民主党政権になってから事業仕分けだ、なんだって言われてますけど、燃料費の高騰だなんだって、真っ先に燃料費は削られて、さらに今菅総理もね、「自衛隊にすごく期待してる、期待してる」って言うことをアピールするんだけど、あの人達はつい先日まで自衛官の人員をこの尖閣とか竹島だとか非常に国際情勢が緊迫化する中で今現在で8700名のリストラを行っているんですよ。でもうほんとに、人員の捻出も出来ないと。そこで今回予備自衛官即応予備自衛官という予備自衛官制度と言われますけども、そのカテゴリーに入る人達の動員が明日の朝でしょう。明日の朝頃から行われる。で、これはほんとに歴史に残る災害派遣計画になる。
 最早これが警察力だとか消防の力で処理できる問題かと言えばこれ誰の目に見ても最早ね対処不能不能なところだと、これはまたおいおい話しようと思います。色々な制約があって、今自衛官も首都圏近傍の駐屯地にですね、今こうしててもですね、僕のiphoneにですねいろんなメールが来るんですけども、まあひとつ読んでみましょうか。
田上:これは静岡県の富士地区にいらっしゃる三等陸曹という階級の方なんですけども、お名前等、具体的な部隊はふせさせてもらいます。
『お疲れ様です。実は自分は阪神大震災をきっかけに自衛隊に入隊しました。今回静岡県でも非常に大きな東部直下の地震が発生し、バタバタしています。自衛官の多くが今すぐにでも被災地にいって助けになりたいと思ってる、しかし皆士気も高く一致団結し、命令があればいつでも出動する準備が出来てます。それが例え放射能がもれていようと、どのような状況でもです。しかし、我々の部隊は災害派遣の命令が来ず、非常に悔しい思いで毎日を過ごしております。阪神大震災を目の当たりにして自衛隊に入隊しただけに、救助できる立場になったにも関わらずそれができないのが無念すぎてならない。』
現在、自衛隊10万人を一極投入すると自衛官で立水の余地もなくなってしまう。さっきもニュースの担当の方が、現地の記者さんがですね「現在自衛隊仙台港から市街方面へ繋がる国道の警戒作業中である」そういうところに部隊を入れたら玉突き渋滞してしまうわけですね。だから待機してる部隊というのも首都圏だけども非常にありまして、今回こうやって皆さんに連絡取って正直感服したのが、自衛隊の中にもね、官僚みたいなものがあるんですよ。やはり公務員であって、ちょっとサラリーマン化した方もたまに散見されるんです。ただ、自分が今回話を聞いた約20名近い自衛官の中で今回の災害派遣で家族とも会えなくなるし、下手すると多賀城だとか、福島の郡山駐屯地だとか家族が被災してる方も一杯いらっしゃるわけですよ。だけど、自宅に帰りたいのは山々だけれど、彼らは命令を待って災害派遣にあたってるわけですよ。特に今回小1時間前ですね、招集が決定された予備自衛官だとか即応予備自衛官、でもこの外山さんにしても藤木さんにしても即応予備だとか予備自衛官とか聞いて何か感じる知ってる部分ございます?

藤木:いや、またぶんその、予備って言うかね非常時に備えて待機してる普通のお仕事しながら待機してる人って感じはあるんですけども。今回やっぱり初めて聞いたん

田上:ですね。これ防衛省の1つの罪でもあるとおもうんだけど、こういう予備自衛官制度とか即応予備自衛官制度ってもので日本の防衛政策は支えられてきたって部分もあるんですよ。普段はそりゃ人件費が少なく済みますから、有事のときだけ招集すればいい。まあはっきり言って彼らは前線に出る部隊というよりも、第一線で働く部隊のサポートだったりするんだけども、それで重要なんですよね。当然サポートスタッフがいなかったら、どんないチームも動きませんから。
 でね、今日ちょっとびっくりしたのが、TBSに僕車で乗り付けてきたんですけど、以前取材で知り合った航空自衛官の方がいらっしゃったんですね。木更津の第一補給所ってところに居らっしゃったんだけど、僕がねTBSの下の駐車場に入ったら警備員の方がいらっしゃって、これも取材だなと思ってちょっと聞いたんですよ。「今TBSで警備されてる警備員の方の中に予備自衛官とか即応予備自衛官の方いらっしゃいます?」「ああ、いっぱいいます。陸上も航空も一杯いますよ。ここの警備員の半分ぐらいじゃないかな」って言うんですよ。そんな話をしてたら目の前に
テケテケ歩いてる奴がいて「田上さん!」「吉沢」つって、僕が以前取材した自衛官自衛隊を退職してあの今TBSの警備をやってる。彼は週末というか年5日間の招集を受けて今航空自衛隊予備自衛官をやってると。「どう?」って、「空幕の方からなんか連絡来た?」てことを聞いたら「いや航空の方はまだ来てないんです。ただ、陸上さん大変ですね、明日にも招集ですからね。ウチの部署のなかにも即応の予備の方一杯いてほんと大変ですよね」ってことを言われるわけですよ。 
 今彼もこんなことを気楽に喋ってますけどそれこそ昔で言えば赤札じゃないですけど、防衛招集の命令書ってのが来たら彼らは今のガードマンの制服脱いで戦闘服を着て派遣されるわけですよ。実はこの運送業界だったり、警備業であったり、まあいろんな農家から漁業からいろんな方がいらっしゃるんだけど、このTBSに限定してもその予備自衛官の方はいらっしゃるんですね。

外山:全然知らなかった。

田上:この予備自衛官ってのは一度自衛隊を退職された後にさらに自衛隊と契約してその立場をなってるわけですから、全般皆さんやる気もあって、頑張られてる印象を受けるんだけども、やっぱり自衛隊の中でも常備自衛官、フルタイムで働いてる正社員的な人ですよね、やっぱり予備自衛官・即応予備ってどうしても越えられない一線みたいなものがあって、予算的なものであったり、装備の最新装備が渡されるのが遅かったりだとか、ある種の差別的待遇的なものがあった。正直な話、北沢俊美防衛大臣がどれだけ知ってるのかしりませんけども、福島の第一発電所の方にも、第一原発の方にも自衛官の方達はいってますけど、彼らは専門性の高い対NBC部隊なんですね。NBC、 Nuclear Biological Chemical 要は原爆生物化学兵器といういわゆる汚い戦争の形態に対応する特殊な人達が行かれてるから装備それなりにいいんだけど、今日のね、福島の第一原発でヘリからの注水作業、夕方に 霞目駐屯地から飛び立ったヘリはあれ千葉県木更津の第一ヘリコプター団のヘリだったんですよ。ここの部隊というのは一般の輸送部隊であって、これは自衛隊の手の内を明かすようなことになっちゃうことになるかもしれないけど、自衛隊ってのは対原子力兵器のことを対特殊武器って言うんですね。特殊武器関連の訓練というのはほとんどが座学で実地での演習はないんですよ。それは確かに今回福島第一原発に突入している中央特殊武器防護隊とその支援部隊である対特殊武器衛生隊、このへんの訓練は受けているんだけど一般のヘリコプター部隊だったり、一般の普通科部隊、普通科ってのは諸外国では歩兵に相当するんですけど、例えば特化部隊これは砲兵部隊になります。彼らってのは一切そういう対特殊武器関係の教育を受けていないとも言えるんです。それは知識としてはあるとおもうんですけど、ただ米軍のような実戦的な訓練は行われていない。それはなぜかといったら単純にもう軍人音痴な政治家とそれを選んで自衛隊に予算付けることに対して理解のなかった我々国民のツケなんですよ。結局我々の選んだ政治家が彼らが政策を決定するわけですから、本当に国が国難になったとき、本当にピンチになったときにどうするのってヴィジョンを描いたのは政治家の中でもほんのひとにぎりしかいなかったと思うんですね。
 だから今回はある意味で今まで自分たち日本国民の平和ボケの目を覚ます最後の瞬間なのかもしれ無いなというのは、ちょっとね今回の件で感じますよね。

その後、即応予備自衛官のメールなどが読まれる。

即応予備自衛官

田上:具体的には神奈川だと第三十一普通科連隊というところが、千葉の習志野だったり朝霞駐屯地だったり、神奈川の竹山とかいろんな所で招集訓練やってるんですけど、ほんとに会社員の方から僕の知人だと厚生労働省で遺骨採集やってるかたとか、それこそパチンコ屋さん、内装業、農家、漁業、ほんといろんな業種の方がいらっしゃるんですよ。全国に今7000名ぐらいいるんだけども、東北の皆さん今即応予備にしても予備自衛官にしても今会社から帰ってきてスーツ脱いで今から戦闘服を着て皆さん助けに行くと言っておりますので、ほんと希望捨てずにう〜ん、待っててやっていただければと個人的にも思いますね。

藤木:即応予備自衛官予備自衛官は任期みたいなものはあるんですか。

田上:即応予備に関しては3年契約で年30日の訓練出頭をやると。予備自衛官は緊急時に呼ばれた場合でも基本駐屯地の警備とか後方支援なんですよね。昔の言い方すると留守部隊って言い方するんですよ。旧聞の言い方をすると。ただ、即応予備に関してはこれはコア部隊といいまして、有事の際に動員されたら直ちに普通のフルタイムで働いてる常備自衛官と全くおんなじことをやらされるんですよ。例えば敵の武装工作員が潜入したって言う時は、それは例えばTBSのビルの中にいたら1つのエリアごとにCQBって言って、その1人1人敵を撃ってその建物を制圧するとか、そういう結構特殊な技能まで付与されてるまあ特殊な一般人ですね。彼らがよく自分たちのことをおちゃらけで言う時に、「僕らは週末自衛隊だから」って言うんですよ。いわばウィークエンドSDF(Self Defence Force)ですよね。土日は大体訓練やって、嫁子供たまにしかディズニーに連れて行ってやれないんだよねみたいな。
 だからいつ国から呼ばれるかわからないし、年30日訓練出頭しなきゃいけないということで、いろんな即応予備を雇ってる会社でもやっぱり理解も無いところもあるんですよ。有休をちゃんと上げてくださいねって即応の給付金ってのが事業所にも来るんだけど、まあお前自分の休みでいけよとか、例えばやっぱりこのご時世だから、正社員で中々雇ってくれるところがないってんで、結構バイト掛け持ちでやってる人も多いんですね。彼らはそれを即応貧乏だからみたいなことで自嘲はするんだけど、ただ彼らはイザって言うときに自分たちがいなければいけない。そして、普段は常備自衛官よりも、ちょっとねえ皆わかるとおもうんだけど、常備自衛官よりもいろんな待遇とかで一級下に見られて、差別的なものを感じてる人は正直ほとんどだと思うんですよ。それでも俺たちはやっぱり国を守ってるんだというプライドを持って彼ら今までず〜っと黙々と年30日訓練やって来たわけですよ。今やっぱりここで出れるというところで、当然もうやっと自分たちの力が発揮できる、人を助けられるというのと同時に、やっぱり常備自衛官を見返してやるぞみたいな、そういうガッツも今部隊にはあるみたいで、こうしてる間にも第三十普通科連隊の第四中隊の方から、いろんな方から招集決まったと、「そうと決まれば明日から仕事再開だけど、とりあえず明日1日だけ仕事場出て相手先にお詫びを入れていよいよ出動」と。

藤木:招集というのはどういう形で来るんですか。

田上:これはもう防衛省の下にですね、東京だったら東京地方強力本部って普段は広報活動とかやってるような組織があるんですけど、池袋の西口のローターリーにもあるんですけど、自衛官って昔良くパチンコ屋で勧誘してた、ああいう人達が有事の際には即応予備自衛官に出頭命令書ってのを送るんですね。予備自衛官のところにもその命令書が来た場合は、これってのは相当な理由ないと断れないんですよ。応集義務ですから。だから現時点で今ちょっと具体的な数字手元から資料どっかいっちゃったんですが、予備自衛官にしても、あっありましたね、「3月14日現在で即応予備自衛官1900名、予備自衛官4600名、総計6500名が防衛省側に出頭の可否の意志の確認ですね、意志の確認をしたところ、参加の意向を示したと。本日の報道でもこの6500人が参加の意向と言われてるんですけど、即応は今実員で現在8500名、予備自衛官は全体で4万7千900名、総計で5万7千400名がいる中で、現在6500しか参加の意向を出してもいないとも言えるんですね。ただ、これから招集が行われて状況が変わると思うんですけど。
 だからもしも、このラジオをお聴きの即応予備自衛官ですとか、予備自衛官の方、まあ是非ねこの国難の時にね紐帯で力を合わせてこの国難を断固粉砕していただければと。

藤木:まあ、あとそのお、雇ってる企業の方に理解を示してほしいなと思いますね。

田上:正直ね、僕がさっき電話で話した人はクビ覚悟って言ってましたね。正直これで出て、クビになる人は部隊で相当いるだろうと、まあそれやっちゃいけないってことになってるんだけど、今企業もジリ貧で大変だから、その覚悟でいますよと。

外山:毎朝、おはようございますって言ってるね、方達

藤木:警備員の方達ね、

外山: そう。そういう方がいらっしゃったってほんとに知らなかったです。

藤木:制服着て救援活動で頑張れる方もいるってことです。

田上:ほんともう命令書来るとこのTBSの駐車場にいる方々も皆セントラル警備保障の制服を脱いで戦闘服を着ていざ出撃になるわけですよね。

藤木:文書でくるわけですよね。

田上:文書ですよね。

外山:ラマンさんという方から。twitterですね。『日本人だから大丈夫みたいなあいまいな理由だと、秩序だって略奪しないでいられるのは5日程度だということか。こういうときの精神状態の保ち方の専門家なんているのかな。どうすればいいのかききたい。宗教とかこういうとき大切なのか。

田上:世界中の震災とかの被害が起こったところで、軍隊だとか入れるってのは否定的なニュアンスで取られるところもあるけど、彼らって持ってくるものは食料だけじゃなくて、秩序を運ぶ部分もあるわけですよ、統制のとれた動きで。それが全体として民心の安定を図る部分もありますから、僕はなるべく多くの被災地に予備自衛官始め、即応予備にしても、常備自衛官にしても全自衛隊は一致団結して被災者の救援にあたっていただきたいなと思います。