異国トーキョー漂流記 (集英社文庫)

異国トーキョー漂流記 (集英社文庫)

著者が知り合った在日外国人との交流。著者はフランス語、英語、リンガラ語(コンゴ共和国)などに堪能。
インパクトがあるのは盲目のスーダン人、マフディ。目が見えないのに日本の野球好き。広島ファン。盲目で外国人であるにもかかわらず日本の大学に合格してしまう。目が見えないのに外国に留学しようという気構えが凄い。日本は点字資料が充実しているんだと。そりゃあスーダンに比べたらそうだろう。点字だから漢字に煩わされることが無いと。両者は野球談議に花を咲かす。マフディは日本で一番のストッパーは誰かの問いに「ロッテの小林雅英」と答えるぐらいの通だ。プロ入りしてからの100セーブ到達記録はあの横浜の佐々木よりも早いらしい。
何試合目かはわからないが確かに小林雅はプロ入り5年目で、佐々木は6年目で達成している。
コンゴ人の大学教授。普段は両者はフランス語で話しているのだが、奈良に旅行に行ったときにたまたま横の席にフランス人が座ってきた。すぐに英語に切り替える。そしてそのフランス人が英語で注文をしているとわかるとリンガラ語で話そうとする。「全てはあいつら(フランス人)が壊していったと」
コンゴ共和国は旧フランス植民地。普段は紳士の豹変に驚く筆者。このコンゴ人はその後内戦に巻き込まれてアメリカに移住。大学で物理と文学を教えているという。筆者はこのコンゴ人の小説を翻訳出版している。
その他、ペルー人、フランス人らとの話。