本当の国境は、豊かな国と貧しい国とのあいだにある-野口悠紀雄

日本人の場合は、アメリカ入国審査が厳しくても、結局は受け入れられる場合が多い。しかし、メキシコからだと、そうはゆかない。両国間には著しい所得の格差があるから、職を求めてアメリカに入国したい人の数は膨大だ。これらの人びとをすべて入国させたら、アメリカ社会は崩壊してしまう。そこで、ここには厳しい国境が設けられている。

アメリカとメキシコの国境が世界最大の先進国と発展途上国を分けているボーダー(国境)だろう。これほどあからさまな国境風景もない。アメリカ側に入ってもサービス業や3Kはラティーノスペイン語母語とする人々)がほとんど担っている。ウエイター、道路工事、ファーストフードの店員。