-PATA

村上春樹の小説は、すべて表の世界と裏の世界という2つの世界に分かれて物語が進行する構造を持っているともいえる。それも単に生と死の世界というのではなく、よく村上春樹自身も書いているように「そこにあるものと失ったもの」とも考えられる。そういった意味でも、常に物事をキチンとあったままに正確に戻すことで秩序を保とうとしているシナモンの存在は象徴的だ。

ここで問われているのは基本的には小説の世界観なんだろう。

私は村上小説の主人公の存在とか、英語を組み立て直したような比ゆはあまり気にならない。オリジナルでうまいとさえ思うが。