日本ではあまりよく知られていないが、1991年12月のソ連崩壊後に成立したグルジアのどの政権も国全体を実効的に支配することができていない。特に黒海沿岸のアブハジア自治共和国にグルジア政府の統治権は及んでいない。南オセチア自治州やアジャール自治共和国においても現地政権の力の方が圧倒的に強い。
FujiSankei Business i. ラスプーチンと呼ばれた男 佐藤優の地球を斬る/露機関紙の不気味なシグナル
例えば、『赤星』のホームページ(http://www.redstar.ru)を開くと、左に読者のアンケート欄がある。6月30日現在の質問は、「アブハジア、南オセチアがロシア連邦に加わることについてどう思いますか?」というものだ。「ロシアを強化する」「経済的観点で不適切だ」「グルジアとの紛争を招く」のうち1つを選べという。アブハジアも南オセチアも独立国家グルジアの領域である。ロシア国防省が他国の領域を編入することを前提としたアンケートを行えば、グルジア政府から非友好的行為とみなされても仕方がない。筆者の解釈では、プーチン首相の指導下でロシア政府がグルジア政府に対して、「ロシアの言うことを聞かないと、アブハジア、南オセチアの内部を揺さぶり、これらの地域をロシアに併合してやるゾ」と恫喝(どうかつ)をかけているのである。
今のグルジアが南オセチアでやってることはロシアがチェチェンでやったことと同じと思う。ロシア軍が南オセチアに駐留しているらしいし。本気で領土を分捕るつもりか。グルジアが旧ユーゴのようにバラバラになるのか。そうなったらロシア領内でも同じようなことが起こると思うが。