『陽だまりの彼女』について
佐藤優: これは(陽だまりの彼女)日本人的な輪廻転生的な考え方。それがこの中に入ってる。そうするとなぜこの本が突然5千部から17万部(現在累計100万部)っていうお化け本になったのか。多分、20万部軽く超えると思う。新潮社の人もびっくりしてるわけ。なんで火が付き出したのかと。私は3.11と関係すると思う。人の命ってなんなんだろう。そして愛してる人たちがいる。何も悪いことをしていないのに突然大地震が起きて、突然津波が起きて愛してる人の命がもってかれちゃった。その後、その人とまた逢うことができるのだろうか。こういういろんな命の問題、それは同時に死を正面から見据えるということ。こういうことというものに我々が関心を持ちだして、本来は思想家とか宗教家がやらないといけなんだけども、小説家がその話を先行してやってるわけです。
(中略)
これ本来政治家が正面から受け止めないと行けない問題、あるいは思想家が正面から受け止めないといけない問題、やはり文学者ってのは本質に触れる力があるんですね。純文学の分野では川上(川上弘美)さん、そしてファンタジー文学とかもっと拡がりを持つようなライトノベルズの世界では越谷オサムさん。こういった人たちがやってそれが今我々の琴線を打ってるわけですよ。ここのところを真面目に考えないといけない。