構造欠陥マンション 見破るチェックポイント


 マンションの耐震強度偽造事件が、日本中に飛び火している。なにしろ、「現行の耐震基準に適合しない『既存不適格住宅』が全体の25%、約1150万戸も存在すると推測される」(日弁連消費者問題対策委)というから、「ウチは大丈夫か?」と心配になってくる。構造欠陥は外見では分かりにくいが、自分でチェックする方法もある。ポイントは4つ――。
◆危ないクラック(亀裂) 外壁のひび割れや雨漏り、床のたわみは、基礎がしっかり造られていないシグナルだ。
「チェックすべきは生コンクリートが露出している階段部分やバルコニーのクラック。築1〜2年でいくつも出るのは危ない。斜め方向の亀裂も建物に変な圧力がかかっている証拠です。建物の重さが軽く算出されている可能性がある」(住宅ジャーナリスト・櫻井幸雄氏)
◆建物の図面 管理事務所にある設計図面、施工図面、構造表をプロに見てもらう手も有効だ。
「この3点セットは住民ならいつでも閲覧する権利がある。とりわけ重要なのは、施工図面。建物の内部構造が記されている。購入前なら構造計算書を販売会社に求める。それを1級建築士にチェックしてもらえばいい。建築士はネットで検索すれば、すぐに見つかるし、行政機関に行けば地元の建築士会を紹介してもらえます」(櫻井幸雄氏)
◆完成年と値段 「偽造事件の背景とされるコスト削減に業界が走りだしたのが93年ごろ。建築費はそれまでの6割に削られた。00年以降はさらに削減されている。コスト削減=構造欠陥とはいえないが、完成年からも危険度は見えます」(日本建築構造技術者協会会長・大越俊男氏)
 もうひとつの目安が価格。1平方メートル当たりの単価(80平方メートル・4000万円なら50万円)が同じ周辺の物件より1割以上安い場合は要注意だ。
◆客観性 「欠陥が疑われても、ひとりで売り主などに掛け合っても相手にされない場合が多い。そこで有効なのは近隣住人の協力を仰ぐこと。建築士を呼んで隣近所も調べて客観的裏付けを取る。欠陥が実はマンション全体の問題だったというケースはままあります」(1級建築士
 NPO建築Gメンの会は無料の電話相談窓口「住まい110番」を開設している。現地調査は1時間約8000円だ。日本建築構造技術者協会もマンションの設計・構造計算書をチェックしてくれる。こうした機関に相談してみてもいい。