大竹まこと ゴールデンラジオ THE MANZAIについて

大竹: たけしさんがびびってたよ。若手があまりに面白んで。俺にはこんなスピードでね、
新聞に書いてあったけど。俺達の時代じゃなくてよかったみたいな。
阿川: へえ〜、そんなに。
大竹: いや、それほどね、昨日のTHE MANZAIはね、最初っからね、採点方法もね、
前は他局でM-1ってのをやってて、その採点方法は9・10組を点数で付けるのよ。
だから一番最初に点数つけるとどんなに面白くても85点から88点ぐらいしか付けられない。
それ以上面白い人が出てきたらどうしようと思うから、どんなに面白くてもその辺で絞るわけね。
そうしないと後で面白い人が出てきたら困るから。出てこない時もある、そうすると出てないと、今度は88点つけたとすると、どんどん俺の中で点数が下がってく。今回は4組出て面白い人を押せばいいのね、
阿川: あ〜、なるほど。
大竹: うん。そのリラックスさが演者にも伝わってて一番引いたから「空くじ」じゃないって思うわけ。
だから勢いがあるわけ。だから最初っから面白いんだよ。だから、最初のひと組から度肝抜かれてさ、
面白い、面白いときて、ハマカーンだったんだよ。
阿川: おう。
大竹: ね、俺ハマカーンに番組である時『ほんと悪いけど、審査員だからクールに審査するよと。情け(ハマカーンは番組木曜にレポーターとしてレギュラー)は一切かけないからね。それは肝に命じとけよって言ったのね。したらね、ハマカーンが一番おもしろかったの。一番・・・(大竹さん、感極まる)
阿川: 皆が認める?
大竹: 皆が認める面白さ。他の漫才たちも凄く面白いんだけど、
阿川: お父さん、泣きそうになってますよ、おとうさん。
大竹: 他も皆面白んだけど、特にハマカーンの後の人たちも面白いんだけど、ハマカーンの凄さは俺たちをどこへ連れて行くのかわからない凄さ。他の漫才はケツが見えるのね。こうやって笑わして、こうやって笑わして、平板でこうこうこうで笑わして、そうやってピークをこうやって迎えるってのはもう読める。ハマカーンは浜谷が俺たちをどこへ連れて行くのかって、思いもよらぬ展開なのね。
阿川: そんな優秀な方だったの?
大竹: そんなでもない。
阿川: 月曜日に時々ね、特別なときに来てくださる。
大竹: でもね、優勝したら神田が号泣してね、神田って奴がね、神田駄目だ、駄目だってこの番組で言っててね、ほんとあいつね、頑張ったんだね。神田の、まあちょっとパターンも変えたんだけど、神田のフリがほんとに的確で、神田のフリが自分のやってることと等身大なんだよね。
阿川: 無理がいってない。
大竹: 無理をしない。無理しないフリを神田が見つけて、その神田の無理しない髪の毛のキューティクルだとか、お肌のことだとか、女っぽいとこもたくさん神田が持ってて、そのフリを浜谷がとんでもない方向へ持ってくんだよね。だから、神田もね、泣くのわかるよ、あれは。今までお姉ちゃん無くちゃ生きていけないとか、お姉ちゃんから小遣い貰ってんだろうとかさ、
阿川: なまじかわいい顔してるから甘ったれて生きてきたんだろうって見られちゃって。
大竹: そうそう。それでね、ここで頑張んなきゃ、一生お姉ちゃんの幻影の中で生きていかなきゃないっていうだろう
阿川: う〜ん、つらいだろうなあ。
大竹: 辛い。辛いのを何年とやってきて、これじゃあいけないとどっかで思ったんだろうねえ。今度、THE MANZAIで勝負だからって、たぶんよっぽど、よっぽどあれは鍛えたね。
阿川: 今まではどうだったんですか。
大竹: 今までは。駄目な奴で
阿川: 今回は何か変わったの、腰のまき方が違ったとか。
大竹: 普通に話をしていいテンポで相手に渡せるってやっぱり大事なことなんだねえ。ほんとなんか浜谷の腰が折れないというかね、
阿川: 間みたいのも違うんですか
大竹: そうだね、ちょっと俺たちより凄いんだよ、言っとくけど。批判してる俺なんかよりあいつらの方が凄いんだよ。でも、審査員だから言うけども、そういうのを獲得したんじゃないかなあと思って。

(中略)

大竹: 俺らだって『お笑いスター誕生』の10週勝ち抜きだよ。
阿川: はいはい。何年ぐらい前?
大竹: 30年ぐらい前かな。33年ぐらい前、29歳の時。『お笑いスター誕生』、10週勝ち抜き。とんねるずと一緒にだったよね、確か。なあ、ダブル受賞だったんじゃないか。
阿川: こんな諸先輩がね、毎年毎年、ライブを楽しませてくれるってのは若い人たちにも継承していただきたいですね。
大竹: 審査員、ガッツ石松
阿川: 人の話聞いてないでしょ、自分の受賞の時のこと考えてて。
大竹: 俺の芸をガッツ石松に審査されるか。
阿川: どう言われたんですか。
大竹: 動きが少ないって。
全員: (爆笑)
大竹: 『君たちはもっと動いた方がいい』そりゃプロボクサーからいわせればね、あなた。
阿川: まあ、あまり動くタイプの芸じゃないからね、シティボーイズはね。
大竹: 動くタイプじゃないからね。赤塚不二夫さんとかね、
阿川: 赤塚不二夫さんになんか言われたらね、
大竹: 赤塚不二夫さんに言われたこと覚えてるよ。『君たちの芸は先に行き過ぎてる』って言ったんだ。
阿川: 時代が取り残されてる
大竹: 落ちた時にタモリさんに言われたことも覚えてる。落ちた、何週目に挑戦して落ちた時にタモリさんに、『いつもの芸風じゃなかったね、今日は』
阿川: きついですね、それ。
大竹: いや、それはね、
阿川: 良さが無かった。
大竹: 違う。俺達はね、何時もと違って安易にウケるとおもって看護婦ネタやったの
阿川: 見えるんだなあ。
大竹: 3人で出てきて、看護婦になったの。ひげ付けた看護婦やって笑い取ろうとしたのをタモリさんに見透かされたの。だから覚えてるもんだねえ〜。そんな言葉覚えてるもんだねえ〜。