必殺のコンビニ会計にメス

公取委、セブン−イレブンを調査 売れ残りの値引きを制限 - 47NEWS(よんななニュース)

コンビニ業界のFC契約は、廃棄した商品の原価を売上総利益に含める方式を採用。公取委は見切り販売の制限により廃棄が増えれば、加盟店は廃棄分の原価負担に加え、原価を含む総利益から算出した高いチャージを払うことになり、加盟店の不利益が大きい、と判断したとみられる。

2006年3月号

一般に粗利とは、売り上げから原価を引いたものとして表されるが、コンビニ会計は、商品が廃棄処分になると、その分が原価から差し引かれるようにプログラムされている。
たとえば売価100円、原価70円のおにぎりを10個仕入れたとする。全部売り切れば、
(100円×10個)―(70円×10個)=300円
 一般会計でもコンビニ会計でも粗利は300円になる。ところが仮に3個のおにぎりが売れ残って廃棄されたらどうなるか。一般の粗利は、
(100円×7個)―(70円×10個)=〇円
 となるが、コンビニ会計ではこうなる。
(100円×7個)―{(70円×10個)―(70円×3個)}=210円
なんと210円の粗利が出たことに、会計上はなるのである。
 そして本部は、この210円という「コンビニ粗利」から、ロイヤリティとして(チャージ率を50%とした場合)105円を徴収してしまうのである。

こんな会計が何で認められてるんだ。

加盟店にも105円が「利益」として残るが、廃棄された3個のおにぎりの原価(210円)が、別途、加盟店の営業費用に計上されるため、加盟店の損益は差し引き105円のマイナスとなる。
一般の会計原則に基づけば、おにぎりが3個廃棄されたら粗利はゼロ。したがって本部が得られるロイヤリティもゼロで、加盟店の収支もトントン。しかしコンビニ会計では、本部が105円の利益を得るのに対し、加盟店105円の損失を被ることになる。

加盟店側最初からしわ寄せがいくような会計。コンビニ各社が儲けてるのはこういう背景もある。

これは本部が、加盟店の経営圧迫要因である廃棄ロス(この場合は210円)から、ロイヤリティ(210円の50%の105円)を吸い上げているということにほかならない。本部は廃棄が出ようが出まいが確実にロイヤリティを徴収できるのに対し、加盟店は廃棄のリスクをすべて背負いこまされているのだ。
斉藤氏が実行した「1円廃棄」は、この加盟店のみが負わされている廃棄リスクをヘッジするためのテクニックだ。
前述の10個のおにぎりが3個売れ残ったケースで、1円廃棄を実行したとしよう。その際の「コンビニ粗利」は次のように算出される。
{(100円×7個)+(1円×3個)}―(70円×10個)=3円
なんと一般粗利(〇円)とほとんど変わらなくなるのだ。

1円破棄の仕組み。

加盟店は、本部に徴収されるロイヤリティを1円50銭に抑えることができ、自身の損失も1円50銭にとどめることができる。つまりコンビニ会計の罠から脱け出て一般会計に近づくことが、1円廃棄によって可能になる。

正確に言うと自分でおにぎり3個を一個1円で買ってるので3円+1.50円=4円50銭が自身の損。
コンビニオーナーになるとはこのような恐ろしい状態になるということなのか。