証取法158条という罪状こそあれ、具体的に何をどういう形で違法としているのかは分からないまま、毎日のように、新しい「疑惑」が報道されていく・・・いったい、何を調査して、何に対して防御すればいいのか、幹部の身柄拘束に至った今でも、検察が問題としている具体的な構成要件、実行行為の内容は明らかにならない・・・時間がたてば経つほど評判へのダメージは拡大していく・・・けれども、検察が当初ほのめかした内容について見解を発表しても、すぐにうわさや報道は「それだけではない」といい、そのうわさや報道にも対応しなくてはいけない・・・これで効果的な内部調査をしろといわれても・・・
・・・けれども、嵐のように一切合切の書類の原本が持ち去られてしまうとすれば、内部調査はもちろん日常業務すら全うすることはできません。もし押さえられた書類のうち、容疑とは関係ないけど、日常業務には欠かせない文書があったとしたらどうでしょう?・・・それによって生じた機会喪失は「疑われるようなことをしてしまった会社が甘受すべきコスト」なのでしょうか?そして、おそらく何よりも違うのは、アメリカでは、嫌疑をかけられた側が、「防御」のために弁護士をはじめとした専門家と対策を練ることは「最低限の権利」であり、こうした「防御」活動を妨げてはならないのはむろんのこと、こうした「防御」のためのディスカッションの内容や関連する書面は捜査機関側に提出する必要はありません(秘匿特権"privilege")。もちろん、弁護士と相談したり、関係者間で対策の会議を行うことは、「防御」のための当然の権利です。
・・・もし、こうした対策会議を行うこと自体が「証拠隠滅活動」であるとみなされたり、弁護士との間で相談した文書や内容も捜索差押えの対象となるとしたら、いったい、どうやって嫌疑をかけられた側は「防御」をすればいいのでしょう?
(ただ、内部調査や会社としての防御の責任者は、現経営陣ではなく、少なくとも監査役、更に望ましいのは、外部からの招聘だったとは思いますが・・・)
そもそも、ある会社の中心人物の身柄を押さえるということは、極めて大きなコストを会社にもたらします。もちろん、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがあれば、それでも、「やむを得ず」身柄を押さえることは必要になるでしょう?
でも、今回の場合、堀江氏が逃亡を図るというおそれは考えがたいところです。「証拠隠滅」?・・・いったい、あれだけの捜索差押えの後に隠滅すべき証拠とは何で、それにはどんな可能性があるのでしょう?・・・また、どうやって、これを「証明」できるのでしょう?
・・・もちろん、そうした「建前」であっても、実際には、およそ「疑わしければ逮捕が可能」というのが運用です。
ただ、これが可能ということは、一度嫌疑がかけられれば、嫌疑に関連のある経営陣を刷新しなければ、会社は日常業務すら安心して営むことはできないということです。もちろん、内部調査の進展によっては、一刻も早く新体制を構築することも必要ですが、いずれにせよ上のような事情で内部調査もままならないまま「1週間」で逮捕がなされるという状況では、会社側で対応できることは、ほとんどありません。そして、「強制捜査が入ったこと」、そして、「逮捕されたこと」自体が、「悪事の動かぬ証拠」であるとばかりに、マスコミや世論が「検察=正義」という構図を広めてしまい、「防御」は「悪あがき」と同視されれば・・・
私にとっては、ライブドアが「最終的に」どれだけのことをやっていたかではなく、「この1週間の間に」ライブドアに起きたことが、とても恐ろしいことのように思えてなりません。
こういう話を大手メディアはすべきだ。テレビでこういうことは聴けない。
極東ブログ:ホリエモン逮捕
犬にかぶらせろ!
マスコミが彼を持ち上げたのは、“後からたたく”ことを見込んでのことに決まってる。貸し剥がしですよ。マスコミを擁護するつもりなど塵ほどもありませんが、マスコミは破滅を最大化するためにさんざん持ち上げたということ。
ガ島通信
記者クラブ問題、事件・事故によるメディアスクラムが発生した場合に、マスコミは捜査機関をチェックするためだとか、権力を監視するだとか、人権を守るためなどと説明していますが、毎度の「お祭り騒ぎ」を見ていると、それは建前であることがよく分かります。
仮に、自分が特捜部に逮捕されたことを考えるとぞっとします。有罪・無罪の判断が正式に下される前に、そしてそれがどのような結果であったとしても、マスコミによって「有罪」が印象付けられ、人生が「終わって」しまうでしょう。
容疑者側からの情報は逮捕されてしまうとほとんど出せないが、特捜側からの情報はやたら出てくる。被疑者側に確認や裏も取らずに。メールとかどうやって入手してんのか。関係者情報って誰からなのか。
私たちが監視すべき対象はホリエモンの悪行なのか、それとも・・・神保哲生
日テレが昨日からしきりとオンエアで使っているホリエモンと番組プロデューサーとの電話のやりとりって、ホリエモンから録音許可とか使用許可は取っているんだろうか。
完全に取ってないだろう。逮捕される奴の人権なんかどうでもいいからイケイケどんどんになってるだけ。数字取れるときに取っとけってなもんだろ。出演者の誰か突っ込めよ。
アメリカの風景 シカゴの法律事務所から
ライブドア本社の捜索では、あらいざらいの資料とパソコン、サーバーも押収されて持っていかれたようである。捜索差押令状というものは、その被疑事件に関して、被疑事実に限り、発せられるものである。しかし、証券取引法(偽計、風説流布)で、ここまで根こそぎ持っていけるものなのか、改めて脅威というか、恐怖を感じた。
確かに、全容解明のためには、それら全てのコンピューターも必要なのかもしれないが、それでは、通常の業務もできなくなってしまうのではないか。さらに、ライブドアは、ポータルサイトも運営している。一般のユーザーが利用しているライブドアメールなどの内容も、全てこのライブドアのサーバーの中に保管されていると思われる。
とすれば、捜査機関は、全てを調べる中で、サーバーに保存されている全く第三者の電子メールの内容も全部見れるということではないか? だれが、検察は、そのようなことはしないだろうと言えるのであろうか。もし、そういうことがなされたとすれば、通信の秘密の侵害として憲法違反になることは明らかだろう。ライブドアに関するメールと、第三者が利用するウェブメールの内容とは、きっちりとした分別がなされ、その保障が確保されなければならない。こういうことこそ、マスコミがきちっと主張して捜査機関に対するけん制をすべきところではないのか。一緒になってライブドアたたきをやるだけではなく、このような広範囲になされた、それもインターネットポータル企業に対する捜索に対し、一定の歯止めをかけるべきなのは、マスコミとしての責務だと思う。
これも重要な指摘だがどの大手メディアもしていない。ライブドアユーザーのメールや個人情報も特捜は持っていくのではないのか。